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MOFOR 「カットセルを使用した移動境界シミュレーション 」

1. はじめに

汎用熱流体解析コードPHOENICSの大きな特徴は、形状データをオブジェクトと呼ばれる部品として解析領域内に配置し、自動で直交格子分割を行うことである。ここで格子に沿わないオブジェクト表面に対しては自動的にCutCell手法が適用される。さらにCutCell手法を拡張して、オブジェクトを予め決められた速度で移動させながら非定常計算を行うMOFOR(MOving Frames Of Reference)機能が備わっている。今回、このMOFOR機能の説明と共に、検証計算事例を紹介する。

2. 移動境界計算手法

CutCell手法では、直交格子上に配置した任意のオブジェクト境界面に接する断片セルについて面積、体積を求め、コントロールボリュームとして有限体積式を解く。MOFOR機能はCutCell計算時にオブジェクト移動速度による力を考慮することで移動に伴うオブジェクト周りの流れを表す。Fig1はMOFOR機能を模式的に記述したものである。

Velocity Compornent on moving body

Fig1 Velocity Compornent on moving body

MOFORはオブジェクトの複雑な移動に対応するため、モーションキャプチャーの分野で広く使用されているBVH (BioVision Hierarchical motion capture data) ファイルにて、移動するオブジェクト名、移動方向、および各時刻のオブジェクト原点座標を表形式で記述する。Fig2はパドルの付いているシャフトを3回転するBVHファイルの例である。 このように従来の計算格子をスライドや変形させる手法に比べ、MOFORは特別な設定は必要なく、移動境界の計算データ作成を圧倒的に簡単に行うことができる。また、CutCell手法を使用することで、移動オブジェクト周りの力のかかる方向やオブジェクト表面の摩擦などを考慮した上でメッシュを変形させて計算する手法に比べ、安定で高速に計算結果が得られる。

  Example of BVH file (rotating shaft)

Fig2 Example of BVH file (rotating shaft)

3. MOFORによる計算事例

3.1 攪拌槽計算 
MOFOR機能を使用した移動境界計算が攪拌槽内流れを再現できることを確認するための検証計算を行った。計算条件はDougら(1994)1)によって行われた実験と同一条件とした。Fig3(a)に計算条件として攪拌槽概略図、Fig3(b)に攪拌槽内の速度ベクトル図を示す。インペラーによって生じる吐出流は、壁面に当った後、上下に渦をつくる。Fig3(c)では中心断面における各速度ベクトル成分の半径方向分布について文献1)の実験と比較した。どの方向成分ベクトルも傾向は十分捕らえられている。

(a) sketch of mixer geometry (a) sketch of mixer geometry

Fig3 (a) sketch of mixer geometry

(b) velocity vector

Fig3 (b) velocity vector

mofor
mofor
mofor

(━PHOENICS、■:experimental)

Fig3 (b) Velocity near paddle

 

3.2 振動円柱周りの計算 
一様流中に置かれた円柱後流に発生するカルマン渦の渦放出周期に近い振動数で円柱を振動させると、放出される渦の周期が円柱の振動に同期することが知られている2)。ここで本現象を模擬するためMOFORを使用した移動境界計算を行った。まず、Fig4(a)にRe数1100の非圧縮性流体の一様流中に静止円柱を置いた場合の速度ベクトル図を示す。この時のカルマン渦放出周期は約2.1[1/s]であった。


MOFORにおける計算条件は、振幅/円柱径=0.2、振動周期*円柱径/平均流速=0.2で行った。振動周期は2[1/s]とした。 Fig4(b)に上記の円柱の強制振動をMOFORにて与えた場合の速度ベクトル図を示す。図の蛇行流上下動の最大、最小は180°位相がずれていることから、振動円柱後流にできる流れの周期はほぼ円柱の上下動と一致しており、MOFORによる計算において強制振動と渦放出の周期はほぼ一致することが確認できた。

  (a) Karman flow by Cylinder
 

Fig4 (a) Karman flow by Cylinder

(b)  flow after a oscillation Cylinder

Fig4 (b) flow after a oscillation Cylinder

文献
(1) Dong L., Johansen S.T. Engh T.A.,1994 Flow Induced by an Impeller in a Unbaffled Tank-I experimental, Chem Engng Sci . 49(4),549.
(2) J.M.Andres U.Ingard, Acoustic Streaming at High Reynolds Number, J. acoust. Soc. Am 25(1953)932.

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